幌萌鐵道管理局   茨城交通 Short Report
 
初出: 埼玉大学鐵道研究会会報「空転防止」第28号(平成4年7月28日発行)

 大学4年の時に寄稿した記事の一つ。当時茨城交通でも新旧交代が進みつつある時期で,ワンマン化導入直前でした。もともと気動車ファンには魅力的な鉄道でしたが,この後キハ11の退役前に国鉄塗装に戻したことから一気にファンの注目の的になりました。さらにキハ22を羽幌炭鑛鉄道色に戻したりと茨城交通はファンサービスが良いみたいですね。

 
T.はじめに

 茨城交通は茨城県の水戸地方を中心とする鉄道会社で、経営の中心はバスである。 鉄道部門は現在、湊線(勝田−阿字ヶ浦:14.3q)のみである。かつては御前山線、水浜線の二路線があり水浜線は電化されていた。
 現在の茨城交通は全車気動車で、その多くは北海道から渡ってきたものであり、ローカルな雰囲気を出している。気動車ファンにはたまらないところである。

U.車両について

 先ほども述べたように、茨城交通の気動車は北海道から渡ってきたものが多く、たいへん貴重である。また最近は鹿島臨海鉄道からの委譲車も入ってきている。機関区は那珂湊にあり日中はここに多くの気動車がたむろしている。

ケハ600形

 茨城交通で一番有名な車両といえば、この日本初のステンレス車体気動車であろう。これは昭和35年に茨城交通が新製したもので、実はこれ以外の気動車は全て他社からの委譲車である。総括制御ができないが引通し線があるため、付随車として編成に入ることが可能である。最近は全然出番が無いらしく新車が入ってきている今、廃車になるのが確実(既に廃車だったかな?)である。
 乗ってみたいが、ちょっと無理かな?物置になりつつあったし。


▲ ケハ601
那珂湊機関区にて(H4.3.31)

キハ11形

 これは特にコメントするまでもなく、旧国鉄キハ11形である。多少の改造を施して使用している。111〜113の3両在籍している。


▲ キハ111
那珂湊駅にて(H4.3.31)

キハ22形

 形名を見て、「国鉄のキハ22か」なんて思ったあんたは甘い!
 何とこれは、今は無きあの「羽幌炭鑛鉄道」の主力であったという気動車である。 とは言っても、実際は国鉄キハ22と同型で、運転台に旋回窓がついているのが違うところである。乗ってみると判るが、トイレが撤去された以外は全くキハ22と変わらず、一瞬北海道に来てしまったのか、という錯覚に襲われる。現在、221〜223の3両在籍している。


▲ キハ221
阿字ヶ浦駅にて(H4.3.31)

キハ1100形

 これもなかなかの強者で、昭和45年に留萌鉄道から嫁いできた車両である。留萌鉄道からは全部で5両の車両がやってきたが、悲しいことに現在残っているのはこのキハ1103のみで、他は廃車になってしまった。
 この車両は昭和34年、キハ21形に準じて新製され、廃線された昭和44年までの10年間留萌鉄道で働いてきた。留萌鉄道の生き残りはおそらくこの車両のみであろう。がんばっていただきたい。


▲ キハ1103
那珂湊機関区にて(H4.3.31)

キハ20形

 これは鹿島臨海鉄道より移ってきた車両である。元は国鉄キハ20で、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線開業時に大幅な改造の後、キハ2000形として4両投入された。ところが、鹿島臨鉄に新車が導入されることとなり、追い出しを食らったこの4両は茨城交通に引き取られたのであった。そして形名も元のキハ20となったのである。 キハ20形はヘッドライトがテールランプと一緒に腰の部分に移動してしまったのだが、キハ20ファミリーはやはり「おでこライト」でないとしっくりこない。


▲ キハ201
阿字ヶ浦駅にて(H4.3.31)

ケキ100形

 型番からは想像できないが、これはDLである。現在、茨城交通には貨物営業はないので暇を持て余しているようである。馬力は180ps×2であまりない。保線関係での運用がある模様だ。


▲ ケキ102
那珂湊機関区にて(H4.3.31)

廃車になった車両たち

 留萌鉄道からのキハ1000形(キハ1100形の兄貴分。へそ振りライトが特徴)、キハ2000形(国鉄キハ22に準ずる)が消えて行った。またどうもケハ600形も廃車になっているような感じである(詳しい資料が全く無いため確認のしようがない)。多くはキハ20形の投入によるものである。これは悲しい。
 どちらにせよ、廃車になるにはそれなりの理由があるわけで、ただ残せとは言えないが、もう少し早い機会に茨城交通を訪れて一目見たかったと思う。

その他

 茨城交通の車両にはトイレの設備がない。元々あった車両はどうしているかと言うと、一番多いパターンは「使用中」のままにしておくこと(つまり施錠している)。明らかに安上がりである。しかし間違える人がいるのではないだろうか?
 また車両の塗装が新塗装になり、旧塗装はキハ1103のみである。が、一向に新塗装になる気配がなかった。
 キハ20形であるが、今年の3月31日現在、2両のみ(201,202)運用に入り、残り2両は鹿島臨鉄の塗装はがしをしている最中であったので、今ごろは塗装も終わり運用されているかもしれない。
 また4月1日よりワンマン運転が始まり、詳しくは判らないが一部の車両がワンマン対応の改造が行われている(キハ20形は済)。

V.切符について

 有人駅においては硬券の乗車券類は揃っている。但し、那珂湊は自動券売機があるため、硬券の乗車券の口座があるかは不明である。JR連絡切符は常備である。
 車内補充券は健在であるが、駅で回収されてしまったため手元にはない。切符の回収は結構厳しいようだ。

W.ダイヤ等について

 運行本数は毎時一本の割合で、特に朝・夕だからといった増便はない。全線単線で、交換設備があるのは那珂湊のみであり、大体の列車はここで交換を行う。
 特筆されるのは毎年恒例の、JRからの夏の直通臨時列車「あじがうら号」であろう。今年も7月26日〜8月6日に我孫子−阿字ヶ浦間に運行される。これは海水浴で有名な阿字ヶ浦への列車であるが、湊線内ではJRの気動車の先頭に自社の気動車を連結して走るという形態を取る。これは一度見てみたいものだ。
 運賃は茨城の私鉄はどこも同じでやはり高い。JRの1.5〜2.0倍というところである。しかし距離が短いため普段使わないならそれほどの負担は感じないであろう。


 以上、茨城交通について述べたがいかがだろうか。実は各駅についての細かい様子もつけようと思ったのだが、なんとメモしていた紙を無くしてしまい断念せざるを得なかった。ということで、これは行ってみてのお楽しみにしてもらいたい。
茨城交通はやはり気動車ファンにとっては魅力的な路線である。また、かつての北海道の炭鉱私鉄の車両が残っていることは貴重である。
 上野から鈍行で2時間強のこの茨城交通、ふらっと行ってみてはいかが?


▲ 那珂湊機関区を望む


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